Acoustic Manipulation-Jpn
超音波を用いた非接触マイクロマニピュレーション
通商産業省 工業技術院 名古屋工業技術研究所
構造プロセス部 構造誘導プロセス研究室
(担当・小塚 E-mail: kozuka@nirin.go.jp)
流体中を進む超音波を物体で遮ると、その物体を音の進行方向に押す力が現れる。この力は音響放射圧と呼ばれ、非接触で物体に力を作用させることが可能である。この力は微弱であるが、超音波を集束することにより微小領域への力の集中が可能である。このため、微小物体を対象とするマイクロマシン技術において、クリーンな非接触マイクロマニピュレーションとしての応用が期待される。
音源および反射板を平行に設置し超音波を放射すると、定在波が形成される。定在波音場中に超音波の波長に比べて十分に小さな微小物体を投入すると、その物体は音圧の腹から節に向かう音響放射圧による力を受け、半波長間隔に凝集する(図1)。

図1.定在波音場中で等間隔(0.43mm)にトラップされた粒子
(周波数:1.75MHz、粒子:アルミナ16μm、媒質:水)
複数の定在波を用いると、マイクロマニピュレーションが可能となる。図2は直交する2つの定在波の交点付近を観察したものである。2方向の力の比率を連続的に変えると、合力の変化に伴い粒子凝集形状が変形する。

図2.直交する2つの定在波による粒子凝集形状の変形
定在波と進行波の組み合わせによる粒子操作も可能である。図3は、垂直方向の定在波によりトラップされた粒子に、水平方向から進行波による音響放射圧を集束させた場合の粒子の移動を示している。凹面振動子全面から放射された超音波は、焦点において波長のオーダーにまで集束され、非常に大きな力となって物体に作用する。この力を利用すれば超音波により任意の微小物体を搬送することが可能である。

図3.定在波によりトラップされた粒子の進行波による移動
Last Modified: 1996/02/08