National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) This page is a page of the former research institute. We stopped updating on March 31.2001.
E-mail to webmaster (Japanese) E-mail to webmaster (English)


機能材料研究室

Innovative Materials Laboratory

English version is here.


機能材料研究室の概要

これまで、高性能金属材料の開発は、機能向上のための多元素添加、及びそれによる素材の種類の増加の方向に向かってきた。そして、その努力が、高性能材料の開発に結びついてきた。しかし、今日、材料に求められてる特性である環境負荷低減のためのリサイクル性の観点からは、それらは好ましくない傾向である。一方、良く知られているように、金属材料の機械的性質は材料の結晶の粒径や形状、集合組織等の組織制御によってかなりの程度、改善・多様化できる。また、内部空孔の導入・制御によるセル構造体によっても新しい特性を発現することが可能である。それらは、材料の性能を上げつつ、そのリサイクル性を高め、環境負荷を低減する上で非常に重要である。このようなコンセプトに基づき、機能材料研究室では、広い意味での組織制御の高度化による高性能金属材料の開発を目指している。

研究テーマ

  1. 高性能マグネシウム合金の開発
  2. スーパーセル構造体の開発
  3. 高性能高融点金属材料の研究
  4. 表面構造設計と表面処理技術

スタッフ

室長 馬渕 守  E-mail: mabuchi@nirin.go.jp
   山田康雄 
   斎藤尚文 
   中西 勝 
   重松一典 
   下島康嗣 
   千野靖正 

研究の内容

1.高性能マグネシウム合金の開発

マグネシウムは実用構造用金属材料の内でもっとも軽く(アルミニウムの2/3)、リサイクルも容易なため、その合金は自動車等の軽量化による省エネルギーや環境負荷の低減に対して非常に有効な材料として期待されている。しかし、同材料のいくつかの特性はまだ充分ではなく、室温で脆いため高効率なプレス加工が困難という問題も抱えている。
 本研究室では、適度に加熱しつつ押し出し等で極端に大きな塑性変形を与えることで、(動的再結晶によって)結晶粒を極端に微細化して、合金の強度と靭性を処理前に比べて非常に向上させる技術を開発している。結晶粒径は1μm以下にまで微細化が可能で、強度は鋳造材(結晶粒径は数十μm)の2倍以上になり、引張り試験の際の最大伸びも大幅に改善する。さらに、このように結晶粒が微細化したマグネシウム合金は、比較的低温での超塑性(低温超塑性)及び歪み速度が早い超塑性(高速超塑性)変形特性を示す。(引張り試験において数百%以上の破断伸びを示す。) 本研究室では、この特性をさらに改善することで、非常に複雑な形状の製品を1回の加工で成形できる効率的な加工を可能とする技術の開発を行っている。
 一方、マグネシウム合金の微細な切削粉は一旦発火すると非常に激しく燃える(バルク材は非常に着火し難く実用上の問題は全く無い。)ため、切削粉の処理は必ず必要である。これに関しても、当研究室ではマグネシウム切削粉末のリサイクルを押し出し加工によって行い、特性の優れた再生素材化する技術の開発を行っている。


Proof-GS TEM
マグネシウム合金における結晶粒径と
引張り強度の関係
強加工により粒径を極く微細化した
Mg-Zn-Zr合金のTEM像


超塑性

Mg−RE−Zr合金の超塑性変形の例
(上:試験前の試験片、下:超塑性変形後の引張り試験片)





2.スーパーセル構造体の開発

 CO2の削減等に資するため、自動車の軽量化は今まで以上に厳しく要求されている。軽量化対策として進められてきたプラスチック化は、そのリサイクル性の低さから見直される傾向にあり、近年、リサイクルが容易な軽量金属系材料の利用が拡大している。
 本研究室では、更なる軽量化とリサイクル性の向上のニーズに対応するために、リサイクルが容易な金属材料の抜本的な軽量化を目指して、金属系スーパーセル構造体の開発を行っている。ス−パ−セル構造体とは、空隙率が非常に高いポーラス材料のことで、超低密度、高エネルギー吸収特性等、従来の材料にない特性を示す。
 本研究室では、精密鋳造法を基にして、実用構造用金属材料中最も低密度なマグネシウム合金を母相とする超軽量オープンセル構造体(嵩密度0.05g/cm)を製造する技術を開発している。また、高い機能を発現させるための最適セル構造設計技術の開発にも着手している。波及効果の大きい産業としては、我が国の基幹産業である自動車産業の他にも、航空宇宙産業、建設業を挙げることが出来る。



cells

マグネシウム合金スーパーセル構造体の組織




3.高性能高融点金属材料の研究

タングステン、モリブデンなどの高融点材料は、セラミックスにはない成形性や高い靭性を示すことから、広く工業分野で用いられている。また、タングステンとモリブデンは水素化物を作らないため水素脆性を起こさないと考えられ、水素燃焼タービン用の高温構造材料としても期待できる。しかし、それらの材料は千数百度の高温においては結晶粒の成長が早いため、強度や耐クリープ特性は充分ではなく、改善が求められている。
 本研究室では、極く微量の酸化物微粒子(酸化ランタン)を結晶粒界に分散させ高温での粒成長を制御する技術や、別の高融点金属(タンタル等)を粒内に固溶させ結晶粒の高温特性を改善する技術の開発によって、タングステンを中心とした高融点金属の高温での機械的特性を向上を試みている。

Pure W W-0.8%La2O3

焼鈍後のタングステン圧延材の光学顕微鏡像
 (a)純タングステン (b)La添加

Proof stress

純タングステンとW−Laの耐力の比較


4.表面構造設計と表面処理技術

金属材料を工業的に使用する場合には、耐酸化性や硬さ等の不足を補うため表面改質が必要な場合が多い。本研究室では、異種材料を積層して傾斜機能材料化した場合の最適構造を、有限要素法による熱応力解析と遺伝的アルゴリズムを組み合わせたシミュレ−ションによって決定する技術について研究している。また、レーザーによるチタニウム合金、マグネシウム合金、アルミニウム合金の表面のセラミックス、金属間化合物化技術についても検討している。

Mo-MoSi2

Mo-MoSi2 傾斜機能材料の例
(上側:Mo,下側:MoSi2



名工研の研究 | 材料プロセス部 | 複合材料研究室 | 非平衡プロセス研究室 | 機能材料研究室 | 界面制御プロセス研究室


名古屋工業技術研究所のトップページへ

Last Modified: 2000/9/1