構造評価研究室
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構造評価研究室

Structure Evaluation Laboratory

(English is here.)


− 構造評価研究室の概要 −

 構造評価研究室では、2つのテーマについて研究活動を行っています。その一つが構造用セラミックスの破壊機構の解明、もう一つが木材の高付加価値化に関する研究です。


(1)セラミックスの破壊機構解明に関する研究


 セラミックスは硬くて1000℃以上の高温にも耐える優れた材料であり、これをエネルギー機器などに使うことにより、エネルギー効率を飛躍的に向上させたり、今までは利用が不可能であった厳しい環境を産業に利用することができるようになります。しかし、セラミックスは金属材料と違い、高度な機器に利用することを試み始めてから日が浅く、何故壊れるのか,どのように使えば壊れないのかがよく分かっていません。そこで、セラミックスの特徴に合った使い方や壊れ難いセラミックスを開発するための基盤となる、破壊機構の理論的な解明を目指した研究活動を行っています。


(2)木質材料の高付加価値化に関する研究


 木材は太陽光により生産され、大気中の二酸化炭素を固定する環境に悪影響を与えない優れた材料ですが、燃え易いという欠点があります。また、間伐材など利用価値の低い材料の有効利用も課題となっています。そこで、木質材料を難燃化する,変形加工により必要な形状を無駄なく得る,強度を高めるなどの高付加価値化を行い、より使いやすくする研究を行っています。


− 研究テーマ −

 1.セラミックガスタービン「セラミック部材の評価」
 2.シナジーセラミックス「特性発現機構の解明」
 3.特別研究「無機物を含有し不均質な微構造を持つ多孔質材料の変形加工に関する研究」

− スタッフ −

室 長  山内 幸彦  yamauchi@nirin.go.jp 
  金山 公三  kanayama@nirin.go.jp 
  兼松  渉   kanemat@nirin.go.jp 
  宮島 達也  miyajima@nirin.go.jp 
  古田 裕三  furuta@nirin.go.jp 
   
科学技術特別研究員 今西 祐志  
      相馬 奈歩  
      近藤 八重  
      竹内 和敏  
非常勤職員 酒井 清介  
非常勤職員 伊藤  勝   
非常勤職員 平井 幸男  

− 研究の内容 −

1.セラミックガスタービン「セラミック部材の評価」

 「セラミックガスタービン」は、300kW級ガスタービンにセラミックスを用いることにより、タービン入り口温度1350℃で無冷却運転を行い、熱効率を42%にまで向上させようとするプロジェクト研究です。大幅な熱効率の向上により、省エネルギーとそれに伴う二酸化炭素などの環境負荷物質の削減が可能になります。このプロジェクトにおいて、当研究室はセラミック部材の寿命や信頼性を如何に保証するかに関する研究を行っています。

【最近の成果】

 数種類の構造用セラミックスの疲労試験を室温〜高温の広い温度領域で行い、得られた寿命特性をき裂進展特性から予測した寿命と比較した。その結果、セラミックスの疲労破壊は室温においても高温においても基本的には潜在欠陥の長時間負荷による成長を原因としており、寿命特性は静的な応力下で測定したき裂進展特性から予測できること,高温においては粒界ガラス層の結晶化が起こり、き裂進展特性が向上して寿命が延びる場合があることなどが明らかとなった。また、一部のセラミックスには繰り返し負荷の影響による寿命低下が認められたが、これは高靱化に寄与する架橋粒子が繰り返し応力によって損傷を受けることが原因と推察された。セラミックスのき裂進展は、室温においては粒界ガラス層の水分による応力腐食が、高温においては粒界ガラス層の軟化による機械的な破壊が主な原因であると考えられ、室温,高温いずれの温度域においても疲労特性を考える上で粒界の性質が非常に重要であることが示唆された。



2.シナジーセラミックス「特性発現機構の解明」

 「シナジーセラミックス」は、セラミック材料に種々の機能を同時に付与したり、特性を大幅に向上させるために、材料構造を原子・分子からマクロに至る種々のレベルで同時に制御しようとするプロジェクト研究です。このプロジェクトにおいて、当研究室はセラミック材料の破壊抵抗がどのような機構によって発現しているかを材料構造と関連づけて調べ、破壊抵抗を向上させようとする場合の構造制御指針を得ることを目標とした研究を行っています。

【最近の成果】

粒子架橋現象によるセラミックスの高靱化機構を明確にし、その結果を高強度・高靱性セラミックスの開発につなげることを目的に、粒子架橋が発生しているき裂の開口変位分布を負荷を加えた状態で精密に測定した。供試材は架橋粒子を配向分布させたシナジーセラミックス開発材料(窒化ケイ素)と市販の高靱化窒化ケイ素である。市販品は棒状粒子が大きく成長した組織を有するが(粒径6μm,長さ100μm)、シナジー開発材料では棒状粒子の大きさは比較的小さい(粒径2μm,長さ20μm)。しかし、シナジー開発材では棒状粒子を配向化させているため、架橋に寄与する粒子数が多くなっている上に、特定の方向に対しては潜在欠陥寸法が小さい。また、両材料ともにR曲線における破壊抵抗の最大値は約11MPa・m1/2とほぼ等しいが、シナジー開発材の方がR曲線の立ち上がりは急激である上に、強度も高い。測定したき裂開口変位分布を弾性架橋及び引き抜き架橋モデルにより解析した結果、シナジーセラミックス開発材料では市販材に比べて架橋領域は短いものの(市販品で約750μm,シナジー開発材で約105μm)、架橋応力は非常に高い(市販品で約110MPa,シナジー開発材で約400MPa)ことが明らかとなった。この架橋領域が非常に短く、架橋応力レベルが高いことがシナジー開発材の高強度,高靱性の原因となっていると推察された。



3.特別研究「無機物を含有し不均質な微構造を持つ多孔質材料の変形加工に関する研究」

 近年、地球温暖化現象とその原因物質である二酸化炭素に対する関心が急激に高まり、世界的規模での対応策が模索されています。工業的手法に依存することなく二酸化炭素を固定する方法として、樹木による光合成があります。これは太陽エネルギを生物資源が有効に利用する優れた自然のシステムです。さらに、樹木は成長するという観点から、樹木を素材とする木質資源は持続的供給の可能性を持つ資源と位置づけることができます。銅やニッケルを始めとする多くの埋蔵資源の利用可能量が有限で、枯渇の危機が指摘されていることから、今後、木質資源の重要性が増すものと予測されています。ところが、熱帯雨林やツンドラ樹林を始めとして、地球規模での森林破壊も問題となっています。また、森林資源の品質低下が進み、大径木や優良広葉樹の入手が困難になりつつあります。さらに、先進諸国においては自然環境保全の立場から、樹木の伐採は、厳しい世論にさらされているのが現状です。我が国においても、環境保全運動が展開されていますが、一方、木材独特の自然な素材感は、住居、家具等の生活環境材料としての強い要求もあります。このように背反する要求を満足する方法として、間伐材のように利用されることなく山に放置されている材料を有効に利用することが有望と考えられます。ここで問題となるのが、間伐材の一般的特性として湾曲が大きく、強度や硬度が小さいことです。すなわち、まっすぐな板や柱を製材することが困難で、さらに、製品に傷ならびに破壊が生じやすく、これらの短所を克服することを目的として、プレスによる変形加工に関する研究が進められ、小径木を素材として、表面硬度、耐摩耗性、軸方向真直度の優れた柱材製造の可能性が示されています。しかしながら、「燃え易い」ことが利用範囲を限定しています。そこで、無機物を木材中へ注入することによって「燃え難い」木材を作り、なおかつ、変形(圧縮)加工を加えて強度特性をも改善する研究を行っています。

【最近の成果】

 変形加工中の木材に破壊を発生させる原因となる木材中に含まれている水分の除去速度を向上させるために、レーザインサイジング法を適用した。その結果、軸方向仮道管をレーザインサイジング穴と通導させれば、木材中の水分がこの穴を通じて僅かな抵抗しか受けることなく排除されることを明らかにした。また、水分の排除速度が向上すると木材の変形抵抗は減少すること,負荷と除荷の繰り返しによって水分の排除速度が増大し、変形抵抗が減少すること,ひずみ速度、すなわち変形速度がが大きいと木材は破壊するが、破壊発生が無い速度領域では、変形抵抗σとひずみ速度(dε/dt)の関係は、Cを定数,mをひずみ速度感受性指数として、σC(dε/dt)m と表されることなどを明らかにした。


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Last Modified: 2000/4/24