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生 物 有 機 化 学 研 究 室
Bioorganic Chemistry Laboratory
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生物有機化学研究室の概要

 本研究室では、大きく分けて2つの分野からなる研究に取り組んでいる。一つの分野は、生理活性物質、特に植物成長調節物質(Plant Growth Regulator, PGR)の開発研究を中心として行っている。また、その合成基盤となる新規合成法や電気化学的合成法および酵素による立体選択的合成法の開発に関する研究をも行っている。これらの研究の発展として現在地球上で問題となっている温暖化、食糧危機、砂漠化など人類にとって極めて重要な問題をこれらのPGR等を利用して解決するための研究も行っている。

 一方、もう一つの研究分野では、わずか数十ミクロン以下の大きさでありながら、高度な化学反応や情報処理を行う細胞の構造と機能を解明し、その高度利用を可能とする技術開発を行っている。特に人体の化学工場ともよばれる肝臓の細胞や、天然の優れた無機-有機融合材料を生み出す骨の細胞に着目し、それらの基本機能の解明と制御技術の開発を通して、人工肝臓や人工骨などのハイブリッド型人工臓器、あるいは物質生産・変換バイオリアクターの開発を目指している。


研究テーマ

  1. 植物成長調節物質(PGR)の開発とタピオカへの応用に関する研究
  2. 有用化合物の精密合成法に関する研究
  3. 耐熱性酵素を利用した物質生産・変換バイオリアクターの開発
  4. 肝細胞の高度利用技術に関する研究
  5. 細胞による骨形成メカニズムの解明と応用

スタッフ

室長 片山 正人  E-mail: katayama@nirin.go.jp
   斎藤 隆雄  E-mail: tsaito@nirin.go.jp
   前田 純夫  E-mail: smaeda@nirin.go.jp
   加藤 且也  E-mail: ktykato@nirin.go.jp
   稲垣 英利  E-mail: hinagaki@nirin.go.jp

   田中 聰子(科学技術特別研究員) E-mail: stanaka@nirin.go.jp


1.植物成長調節物質(PGR)の開発とタピオカへの応用に関する研究

 タイ国で生産されるタピオカ(キャッサバ)は直接の食料ではなく、多くは乾燥チップやペレットの形でEU諸国に家畜飼料として、また粉末澱粉として日本をはじめ中国、台湾等の諸国に輸出されている。タイ政府は極めて低い生活水準を余儀なくされているタピオカ農民の生活水準の向上、ひいてはタイ国民の生活の向上、安定化のためにタイ・タピオカ開発研究所(TTDI)を中心にタピオカの生産向上と価格の安定化に最大限の努力を払っている。その一つとしてTTDIは「タピオカの生産向上のためのPGRのタピオカへの応用」についての研究協力を当所に要請した。当研究室では国際研究協力としてこの要請に応えてタピオカの生産向上のためのPGRの開発とタイ国における応用試験を1994年から開始し、当研究室で開発したPGRが顕著なタピオカイモの生産を増加させることを見出している。

含塩素PGRの散布処理によるキャッサバイモの成長促進作用 (左:対照区、右:含塩素PGR 12ppm散布処理区)


2.有用化合物の精密合成法に関する研究

 特に本研究では、新規生理活性物質を合成するための新規合成法を開発することとそれに基づいた活性物質の小規模合成が中心である。合成法としては電気化学的フッ素化や酵素を用いた立体選択的合成法の確立等を行っている。

[代表例]

光学活性TFIBA(新規PGA)の生体触媒反応を利用した合成法


3.耐熱性酵素を利用した物質生産・変換バイオリアクターの開発

 好熱性細菌の有する耐熱性酵素は、熱や化学薬品に対する耐性が高く長期間に安定な活性を保持するなど、酵素の工業的利用を考えた場合に優れた性質を有している。そこで当研究グループでは、耐熱性酵素の優れた性質を応用して、高温作動型の物質生産・変換バイオリアクターの開発を目指している。

遺伝子組み換え技術により大量生産した耐熱性酵素の単一バンドまでの精製


4.肝細胞の高度利用技術に関する研究

 肝臓は物質生産・エネルギー変換を中心的に担う臓器で、生体おける化学工場と呼ばれるように、高度な分化機能を発現している。一方、肝再生現象に見られるような旺盛な増殖能も合わせ持つ臓器である。この肝細胞が示す多彩でダイナミックな機能を利用する目的で、肝細胞の三次元高密度培養、プログラム細胞死制御による肝細胞の長期培養技術の開発に取り組んでいる。この技術の確立により、ハイブリッド型人工臓器、あるいは物質生産・変換バイオリアクターの開発を目指している。

カラゲーナン含有コラーゲンゲル上で培養した肝細胞によるアルブミン生合成の長期維持


細胞密度に依存して起こる肝細胞のDNA断片化(細胞死の指標)


5.細胞による骨形成メカニズムの解明と応用

 私達の身体を構成している骨は、その硬さからは想像もできないような、ダイナミックな再生力を示し、この再生は、主役である骨細胞がハイドロキシアパタイトやコラーゲンを分泌することによって進行する。この過程を体内において促進するのが、骨形成タンパク質BMPである。しかしながら、BMPは体内では極少量しかつくられていない。当研究グループではBMPを、バイオテクノロジーを駆使して大量に生産することに成功した。そこで、このBMPを用いて、生理活性物質代謝機能を持った人工骨を創製することを目指している。

骨芽細胞による骨形成のイメージ図


骨形成タンパク質BMP-1の遺伝子組み換え技術による大量生産と単一精製


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Last Modified: 1999/5/17