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フ ッ 素 化 学 研 究 室
Fluorine Chemistry Laboratory
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フッ素化学研究室の概要

 フッ素化合物は電子産業や医薬農薬産業などの先端科学技術分野で広く使われている。これらフッ素化合物は分子中に導入されたフッ素原子の数によって部分フッ素化合物とポリフルオロ化合物に大きく分類され、前者には生理活性が、また後者には耐熱性、耐薬品性、耐光性、低表面エネルギー性など優れた機能が期待できる。
 フッ素化学研究室では、フッ素化合物の新機能性材料としての展開を図るために、フッ素原子が関わる化学の研究を行っている。すなわち、有機化合物の分子中にフッ素を導入した場合に発現する特異な性質、それが誘起される機構の解明、並びにフッ素化合物の合成と利用に関する研究などである。


研究テーマ

  1. 温暖化物質の低温暖化代替物と環境影響評価に関する基礎的研究
  2. 機能フッ素化学の研究

スタッフ

室長 小野泰蔵     E-mail: ono@nirin.go.jp
   林 永二     E-mail: hayashi@nirin.go.jp
   西田雅一     E-mail: mnishida@nirin.go.jp
   深谷治彦     E-mail: hfukaya@nirin.go.jp
   早川由夫     E-mail: hayakawa@nirin.go.jp
   寺沢直弘     E-mail: terasawa@nirin.go.jp


1.温暖化物質の低温暖化代替物と環境影響評価に関する基礎的研究

 現在フロン(CFC1))の代替品として冷媒、発泡剤、洗浄剤などとして用いられているHCFC2)やHFC3)などのフッ素化合物は、オゾン破壊係数はゼロあるいはほとんどゼロに近いが、地球温暖化の観点から見れば二酸化炭素やメタンよりも大きい温暖化係数を持つ。これらの化合物は同じフッ素化合物であるPFC4)や六フッ化イオウなどとともに、京都会議(COP3)を始めとする各国の協議により新たな規制物質となり削減対象となった。この地球的規模での環境問題への対策として、地球温暖化傾向のより少ない化合物(低温暖化代替物)の開発が国際的な研究課題となり、早急な解決が求められている。

 これらの規制対象となった温暖化物質のうちフッ素原子を持つ、HCFC、HFC、PFC、及び六フッ化イオウなどはその安定性のため、成層圏に至り温暖化物質として働く。本研究課題は温暖化係数の低い代替化合物を開発するために、安定でしかも大気中の寿命が短く、特性に優れたフッ素化合物の合成を試みるとともに、それらの化合物の環境に対する影響の評価に関する研究を行っている。(重要技術の競争的研究開発:物質工学工業技術研究所及び資源環境技術総合研究所との共同研究)

 当研究室ではこれまで「臭化メチル等の環境中挙動の把握と削減・代替技術に関する研究」として、ガス系消火剤として使用されているハロンの代替物質の開発を行ってきた。これらの過去の実績を踏まえ、当研究課題の基礎的研究として、より温暖化係数が低いことが期待される、酸素、窒素、イオウなどのヘテロ元素を有する新規のフッ素化合物の合成を行っている。フッ素化合物の合成技術としては、電解フッ素化反応や光液層フッ素化反応などの直接フッ素化を利用するとともに、それらにより得られた化合物をイミンやビニルアミンに誘導し出発原料とする、官能基変換による方法についても検討を行っている。

1) CFC: Chlorofluorocarbon, 2) HCFC: Hydrochlorofluorocarbon, 3) HFC: Hydrofluorocarbon, 4) PFC: Perfluorocarbon


2.機能フッ素化学の研究

 フッ素化合物の合成法としては、フッ素置換基を有するユニットをビルディングブロックとして用いる方法や、フッ素ガスや無水フッ化水素酸を用いる直接フッ素化などがある。フッ素化学研究室では、特にこの直接フッ素化に関して優れた技術を有し、電解フッ素化や光液層フッ素化などのフッ素化技術で国際的に高い評価を受けている。フッ素化学研究室では現在、これらのフッ素化技術に基づき、フッ素化合物の合成や応用に関する研究として、フッ素化反応、界面活性化合物、含フッ素不斉化合物、ペルフルオロ安定化ラジカルの合成及び合成技術の開発、さらにはX線構造解析、計算機化学を用いた理論的研究を行っている。

 電解フッ素化は無水フッ化水素酸を用い効率よくペルフルオロ化合物を合成する方法であり、これまで人工血液として利用が可能な含酸素フッ素化合物の合成に成功している。この結果を含窒素化合物に応用し、合成された種々の含窒素カルボン酸を利用した界面活性化合物の開発の研究を行っている。これらの含窒素カルボン酸は光学活性化合物の出発原料でもあり、含フッ素光学活性液晶への応用も可能である。また、新規の電解フッ素化反応についても、含イオウ化合物、二塩基性カルボン酸ジエステルなどの新たな機能が期待される化合物への応用の研究を行っている。

    
図1 オリゴマー型フッ素系界面活性剤の構造 図2 オリゴマー型フッ素系界面活性剤水溶液の表面張力

 光液層フッ素化は溶媒中光照射を行いながら100%のフッ素ガスを導入することによりペルフルオロ化合物を合成する方法である。この方法を用いることにより、従来法では不可能であった安定型ペルフルオロアルキルラジカルの合成が、工業的に安価に手に入るヘキサフルオロプロペンの三量体を直接フッ素化することにより可能となった。本ラジカルは通常の有機化合物では不安定な炭素ラジカルが、フッ素原子の立体反発によりペルフルオロ化合物では安定に存在し、酸素、塩素、臭素(場合によってはフッ素ガスに対しても)などの酸化剤や酸アルカリなど反応活性な試薬に対して不活性となり、ガスクロマトなどによる分離精製が可能となった。このラジカルは極微量でもESRで検出が可能で、画像診断薬など医療福祉の分野への応用が期待される。さらには、ラジカル開始剤、トリフルオロメチル化剤、表面改質剤、ESR用標準化合物等の用途も考えられる。

    
図3 通常の炭化水素ラジカル 図4 ペルフルオロアルキルラジカル

過去の研究テーマ

  1. ハロン代替化合物の開発に関する研究
  2. フッ素系光学活性液晶材料の開発に関する研究
  3. 含フッ素機能性高分子膜の開発に関する研究
  4. 含フッ素有機半導体素材の開発に関する研究

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Last Modified: 2000/5/12